高校の友人が言った。
「インドに行けばインドの先が見える、か」
彼は学生時代、フェミレスの接客アルバイトでお金を貯め1年間の海外旅行に出掛けた。
ひとまずインドを目標にアジアを移動し、その後欧州まで行った。
目標となるインドにつくと、彼の眼前にはインド以西のペルシア欧州世界が広がっていたのだ。
私は同時に、中学2年の時に国語の時間に習った序文を思い出した。
「月日は百代の過客にして行かふ年もまた旅人なり」。
人生そのものが旅だ、と詠ったこの一説は、当時の私に大きな衝撃を与えた。
「旅こそに人生の真実がある」。
旅にこそ真実があるという思いが、中国留学をさせたはずだし、結局自分を旅行業開業に向かわせた。
いつの間にか旅行会社になっていた感じがする。
それでも、意外なことに、旅行業者として業界の人に挨拶に行くと、基本的に歓迎してくれる。
最初警戒していた人も話すうちに
「実は中国語を話せる人を探していた。渡りに船だ」
なんて言ってもらうこともあった。
訪問した会社がやろうとしている表の話だけでも面白いが、業界の裏話なんかをしてくれる人もいて、そうした話全てが実に新鮮だ。
異業界に飛び込むことで見えてきた異世界。
そのうちのいくつかのエピソードをくだんの彼に話した時、彼は
「インドに行けばインドの先が見える、か」
と呟いだのだった。
彼は、インドを目標にベトナムやタイを楽しんでいた時と、インドに到着してインド以西の様々な情報に接した。
そのとき、自分の世界が一気に広がっていく瞬間に感じた深い感動は、深みのある人生観へと昇華したのだろう。
というのも、私自身も、その人生観に基づいて生きている。
私自身、19歳で中国を一人旅している時に、同じ感動を覚えた。
そしてそれは、その後ずっと私の行動に影響を与えた。
「行ってみなければわからない」
「行ってみれば何とかなる」
「何とかするやつは何とかなる」
会社を辞めて6年。
何とか生きている。
私が中国で感じた世界観が一気に広がるあの感動、彼がインドで感じた世界観が一気に広がるあの感動。
それをもっと見たくて、実際に旅して、現地でそれを感じたくて、今生きている。
もっと旅がしたくてサラリーマンを辞めた。
もっと旅がしたくて旅行会社を立ち上げた。
それもこれも「旅こそ人生の真実だ」という大前提に立っているからだ。
ただ、「なぜ旅に真実があるんだ?」と疑問に感じるようになったこともある。
自分の中に「旅に真実がある」のは疑いのないことであったが、
それがなぜかが説明がつかなかった。
「そもそもなぜ人は旅をするのか?」
「そもそもなぜ人類は移動するのか?」
人類が移動する理由は、説得力のある推測がついてる。
その土地に食物がなくなったとか、人口が増えて食物が不足するようになったとか、結局、生活を続けられなくなり、新たな地を探したのだろう。(この様子は藤子不二雄『TPぼん』に詳しい)
ただ、食糧の確保ができる現代人がなぜ移動するのか?
なぜ旅行に行きたがるのか?
というのが、私の中での命題となっていた。
「go wild」という翻訳本を読んでその謎が解けた。
解けてみれば話は単純だった。
人間が生まれてくる理由に、特別なものを求める必要はない。
種の保存のためだ。
種の保存のために自分が生まれてきた。
種の保存のために生きている。
ただ、昨今は「人類としての種の保存」が十分になりすぎている。
古代のように「土地が足りなくなったから移動しよう」というわけにいかない。
新たに移動して開拓する場所が足りない。
お金で他の人の土地を買ったり、戦争という形で領土を奪い取る形になる。
そんなわけで、地球から戦争はなくならない。
多くの日本人は一応の安全が保障されているから、種の保存も盤石になっている人たちも多い。
そんな人たちは持て余した時間をどう使うか、自分が使っている時間の使い方に疑問を覚えることになる。ここ最近の人類に特徴的な悩みだ。
そんな種の保存に頭を悩ませなくて済む人たちが「旅行」をするようになる。
種の保存のために旅をしていた人類は、種の保存に頭を悩ませなくなると多くの人が「旅行」をする。
なぜ旅、旅行をするのかは「go wild」を読んで合点がいった。
人は常に「多様性」を求めているからだ。
種の保存のために「多様性」であることを求めるからだ。
種の保存のためには、多様性を持つことがリスク分散になる。
栄養を多様性ある植物や動物から摂取することで、偏りをなくし、身の安全を図る。
人類が牛や羊を食することで「多様性」を確保してきたという。
特に、羊を放牧することで、羊が「多様性」の原則に沿って広い範囲の植物を摂取する。
人がその羊を食することで、間接的に広範囲の植物の栄養を摂取することになるという。
つまり、生物は種の保存のために多様性を求めて生きているのが原理原則だという。
だから人類は、常に新しい場所を見たいし、食べたことのないおいしいものを食べるために敢えて遠くに行こうとする。
「なるほど」と合点がいく。
自分の場合は、実家に居場所がなかった分、異文化(多様性)を求めたのではないかと仮定している。うまく説明できないけど。
とにかくそんなわけで、「旅」を生業とするために、とりあえず旅行業を開業したわけだ。
ご紹介のオススメ本
[go wild]

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